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鍼灸修行⑨お前の師は誰だ? | 春日部市で整骨院なら高橋はりきゅう整骨院|鍼灸・腰痛

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鍼灸修行⑨お前の師は誰だ?

2022.10.26 | Category: 院長ヒストリー

G先生は仕事が終わると、よく飲みに連れていってくれた。

連れて行ってくれたと書くと、いい感じだが、実際は「高橋飲みにいくぞ!」と言われれば「NO」はない。次の日に大学のテストがあろうが「はい、喜んで!」の一択であった。

ある時、飲みながら話をしていると、G先生は私に突然ある質問を投げかけてきた。

G先生「お前の鍼の師匠は誰だと思う?」

私(え?なんで?もちらん!)「G先生です。」

G先生「違うな。本当の師匠は誰だと思う?」

私「本当の師匠はG先生です、」

G先生「違うんだよ。お前の本当の師匠は俺ではない。」

私「・・・」

G先生「今は俺のことを師匠だと思ってるかもしれないが、本当の師匠は俺ではない。

お前の本当の師匠は患者なんだよ。これから患者がお前にいろいろ教えてくれる。鍼の効果も、何が治るのか?何が治らないないのかも。身をもって教えてくれるんだよ。お前は一人前の鍼灸師になったら患者を師匠だと思って全力で治療しなけらばダメだ。俺はただの通過点に過ぎないんだよ。」

私「・・・」

私は感動なのか、何なのか分からないが、胸から込み上げるものがあり涙が溢れていた。

G鍼灸院に弟子入りして、師匠はG先生だと思い込んでいたので、それを裏切る意外な言葉に驚き、また話の内容に感動し心を揺さぶられてしまっていた。

 

今振り返るとG先生の言葉はよく分かる。

確かに鍼の師は紛れもなくG先生だが、G鍼灸院を卒業した後の、その後の治療家人生の方がはるかに長い。

実際、G鍼灸院を卒業した後、他でもマッサージ、整体、接骨院などで経験を積み開業し、気がつけば20年以上経った。

常に接してきたのは患者に他ならない。

患者さんに鍼の素晴らしい効果も効かなかった事も体験させてもらった。

効かなかった症状でも勉強して向上のきっかけをつくってもらった。

 

治療家の最大の生き甲斐は患者さんに治ってもらう事である。

G先生は自らの体験を通して私に教えてくれたのだ。

患者こそ治療家にとって一番大切な存在であるということを。

 

つづく。