鍼灸修行(19)ある癌患者さん
G鍼灸院でのある日のこと。
午前中、1人の70歳過ぎの男性が初診で来た。
腰痛が主訴だったが、先生は特に変わりなくお腹、腰の鍼をしてその方は帰宅した。
男性が帰って少ししてから、男性の家族(娘さん)が鍼灸院に来た。
娘さんは、「先生にお話したいことがあるんです。」
と、先生と直接話したいと待っていた。
少ししてから先生が来た。
娘さん「先程お世話になった○○の家族なんですが、
、、」
先生「大丈夫ですよ。」
娘さん「え?でも、、、」
先生「大丈夫です。」
娘さん「先生にお伝えしたいことが。。」
先生「大丈夫です。分かってますから。癌なんでしょ?本人に言ってないんですよね。ちゃんとそっちも治療しておきましたから、大丈夫です。」
娘さん「、、、」
娘さんは、びっくりして声もでない様子だったが、少しして
「よろしくお願いします。」
と深々と頭を下げて帰っていった。
私は、目の前でこのようなことがあったが、G先生のこういう出来事には慣れてしまっていたので特に驚きもせず、さすが我が先生!と少し誇らしかった。
それから、このご家族は先生をすっかり信用してくれて家族全員で鍼灸院に来るようになった。
ちなみにこの男性の癌は、よく覚えてないが確か胃癌だった気がする。
私が働いている間は元気に来ていたが、その後どうなったのかは分からない。
とても明るいいいお爺ちゃんで、私の気功を受けて
「高橋先生の気功は気持ちいいな〜」
と、いつも言ってくれた。
その方のように、G鍼灸院には癌で来ている人が何人かいた。
つづく。