鍼灸修行(20)ある不妊症のご婦人
G鍼灸院には何人か不妊症のご夫婦が来ていた。
その方は30代だったと思う。
痩せ型のご婦人で、ご夫婦で鍼灸院に来ていた。
私が働く前から鍼灸を受けていたようだったが、私が働いてからは半年ほど経っていたと思う。
そんなある日、ご婦人はいつものように鍼灸を受けるためにベットに寝て待っていた。
少ししてG先生が来て、お腹を触った後
「妊娠してます。受精して2週間経ってます。」
と突然おっしゃった。
(え?本当?)
私も近くで聞いていて驚いて、他のスタッフと顔を見合わせてしまった。
ご婦人も突然の言葉に驚きながらも喜んで
「あ、ありがとうございます。」
と言うのが精一杯で、目には涙が潤んでいた。
少しして私とスタッフで
私「本当ですよね?妊娠2週間で分かるんですかね?」
スタッフ「本当でしょ。違ってたら大変だよ。」
と話した。
確かに、鍼灸では「脈」で妊娠が分かると言う。
しかし、この時先生は脈診はしてない。数秒お腹を触っただけである。
「なんで分かるのですか?」と聞きたかったが、たぶん「気に決まってるだろ!そんなことも分からないのか!」と言われそうで聞けなかった。
それから本当にお腹は大きくなっていき、その後無事に出産された。
確か赤ちゃんも連れて挨拶に来てくれたのを覚えている。
ちなみに現在、うちでも不妊症のご夫婦が何人かいらしているが、基本的には冷え性の体質改善の鍼灸を行う。
私はG先生のように妊娠2週間では分からないが、それなりに頑張って鍼灸させて頂いております。
うちでも開業以来、不妊症でいらして出産されたご婦人は30人以上はいると思う。
もちろん皆さん、専門の病院に通いながらである。
つづく。