マッサージ編⑤カリスママッサージ師
自由が丘店には、とても人気のある男性スタッフSさんがいた。
系列店40名ほどいるスタッフの中でも人気No1。
2ヶ月先の予約枠がオープンになるとすぐに一杯になってしまう。
Sさんは年齢30代前半、吉田栄作に少し似た爽やかな感じの人だった。マッサージももちろん上手いと評判だった。
そんなイケメン爽やか青年なので、自由が丘のマダム達がメロメロになっていたのだろう。
私は一度Sさんに
「何か特別な技とかあるのですか?」
と聞いたことがあったが、爽やかに
「別に普通にマッサージしてるだけだよ。なんで人気なんだろうね。俺も分かんない。」
と言っていた。
店長にも
「Sさん、なんで人気なんですか?」
と聞いたら
「Sさん、すごく優しいよ。」
と言っていたが、私は内心(それだけ?他にも優しい人はいるのに。やっぱり見た目?)と思っていた。
そんなもてもてのSさんだったが、後に同僚の地味なスタッフと結婚した。
私はチョット意外であった。Sさんだったら、もっとキレイな女性はいくらでもいただろうに。分からないもんだな〜と思った。
そんなSさんだが、私が退職して8年後くらいに当時のスタッフが集まって飲み会をやった時に来ていた。
Sさんは
「あれから自分でマッサージ店をやったけど潰れて、その後、雇われ店長も2つほどやったけど潰れた。それから友人の店で働いていたけど、そこも潰れた。俺、何件潰したなかな〜」
と話していた。
あれほど人気のSさんでも続かなかったのか?
マッサージ店の経営って難しんだな、と思った。
ちなみに私が当時バイトしていたこのマッサージ店も数年後に倒産した。
私がバイトしていたこの頃が、1番勢いがあったのではないか?
私の配属先は渋谷に2号店ができるらしく、そこの新規オープンスタッフとして配属されることになった。
つづく。