腰痛
腰痛には大きく分けて①椎間関節性腰痛、②筋・筋膜性腰痛、③スプラング・バック、④変形性脊椎症、⑤姿勢性腰痛、⑥脊椎すべり症、があります。
①椎間関節性腰痛
腰痛の原因が椎間関節部に存在するものを総称して「椎間関節性腰痛」と呼ぶ。
急性症は椎間関節捻挫による痛みが多く、ギックリ腰の最も代表的な原因となります。また慢性症は加齢による変性を基盤とした椎間関節症である。
椎間関節性腰痛は片側性の場合も両側性の場合もあるが、腰骨と骨盤の間に痛みを訴え、しばしば殿部(お尻)にも関連痛生じる。
- 大部分は第4〜第5腰椎椎間関節部や第5腰椎〜仙骨椎間関節部に圧痛が出てくる。
②筋・筋膜性腰痛
椎間関節捻挫に次いで急性腰痛の起因疾患として重視されているのが「筋・筋膜性腰痛」である。
病態は過伸展(後ろに強く反らす)や捻転による筋・筋膜の炎症で脊椎起立筋部に好発するが、その他殿筋部や棘突起の外側にも発生することがある。慢性症では局所の炎症に基づく循環障害が原因となり、痛みや筋肉の張りを生ずるものとされている。
③スプラング・バック
スプラング・バックもギックリ腰の症状を訴えるものである。
棘上靭帯や棘間靭帯が、下の腰椎付近で過伸展、炎症、部分断裂などをひき起こしたために発症する腰痛で痛みが腰椎と仙骨の間に限局されることが多く、さらに第4〜第5棘突起間や第5〜仙骨棘突起間に圧痛をみる。
④変形性脊椎症
加齢による脊椎およびその周囲組織の変性に起因する腰痛で、椎間板の変性、椎体の変性、椎間関節の関節症性変化、靭帯や
筋肉の緊張、疲労、背骨やその周辺の循環障害などか重複して発症する疾患である。
中高年以上の腰痛で徐々に発症し、慢性の経過を示し、動作開始痛や同一姿勢で痛みの増悪をみるものである。
腰の下で圧痛があるものは椎間関節症が関与し、腰の上の外側痛みや脊柱起立筋部に硬結や圧痛のあるものは筋・筋膜性腰痛が関与する腰痛である。
⑤姿勢性腰痛
日常生活の不良姿勢が習慣になると、やがて姿勢か固定化され、これに起因して脊柱起立筋が拘縮を起こし筋疲労性の腰痛が発生する。
激しい痛みではなく、むしろ腰部の倦怠感、ツッパリ感、持続性の鈍痛などが多く、脊柱の運動痛は軽度であるが、腰椎の前弯増強が観察される。
⑥脊椎すべり症
脊椎すべり症は関節突起間部に骨折が認められる「分離すべり症」と骨折が認められない「無分離すべり症」と大別される。
いずれも第4〜第5腰椎棘突起間に階段変形を認めるケースが多い。
ただしこの変形が認められても特に難治の印象は受けない。