治療家への道③鍼灸師の現実
「鍼灸院になろう!」と決めてから、まずは父に相談してみた。
父は、「G先生のところは混んでるけど、他の鍼灸院はガラガラだよ。鍼灸で生活できるのかな?」と心配していた。
そらから治療に行った時にG先生にも相談したが、父と同じように
「鍼灸じゃ食べていけない。やめときな。大学行ってるんだったら普通に就職した方がいいよ。」
と言われた。しかし、私は
「僕の腰痛はどこにいっても治らなかったのが先生の鍼で治りました。先生のようになりたいんです!」
と言うと、G先生は少し考えてから
「それじゃあ少し勉強に来てみれば?実際、鍼灸を見てから考えてもいいんじゃない?」
と言われた。
私はG先生のところで勉強できるのが嬉しく「はい、よろしくお願いします。」
と即座に答え、ますます鍼灸師になる志しを強くした。
大学生の私はお金とか生活の事とか全く考えてなく、ただ「G先生のようになりたい」の一心のみであった。
しかし今、年を取り社会を経験し思えば確かに父やG先生の言う事は分かる。
鍼灸師はやり甲斐のある仕事だが、金銭的には厳しい。好きじゃないとやるべきではない。
鍼灸師は雇われて働いても、就職先は個人経営が多いので、給料も低く週休1日、有給休暇なし、ボーナスなし、退職金なし、社会保険なしの院がほとんどだ。(高橋はりきゅう整骨院はありますよ!)
たとえ開業してもサラリーマンの平均年収を稼ぐのは難しい、開業してサラリーマンの平均年収くらい稼げたら大成功だと思う。
しかも、もちろん開業したら有給休暇、ボーナス、退職金もない、健康保険は自分で加入し年金も国民年金だけである。病気で働けなくなったら収入もなくなる。そんな厳しい世界である。
なので、社会を知った人なら「本気でやる気がないのならやめときな。」と言うのも分かる。
鍼灸師の厳しい点ばかり書いたが、良い点としては仕事をして患者さんに喜んでもらえる。
喜んでもらえ自分も嬉しい。直接「ありがとうございました。」と言ってもらえる。
その点は最高の仕事だ。
私は今までこの仕事をしてきて多くの治療仲間、患者さんと出会った。楽しくもあり、やり甲斐のある仕事だったと思う。
思い出に残る楽しい患者さんとの出会いもあった。
この仕事は、患者さんを治療し私が患者さんを助けてると思われるが、実は私も患者さんに生き甲斐をいただいるのである。
感謝、感謝!
つづく。