Blog記事一覧 > 股関節 | 春日部市高橋はりきゅう整骨院|鍼灸・腰痛の記事一覧
概要
サッカーなどのスポーツを中心に、鼠径部周辺には多様な原因で発生する各種の痛みがあり、本当の原因を特定しにくいため鼠径部痛症候群(Groin pain syndrome、)と述べています。
鑑別障害に恥骨結合炎、大腿内転筋付着部炎、大腿直筋炎、腹直筋付着部炎、腸腰筋炎、鼠径ヘルニア(スポーツヘルニア)などが挙げられます。
原因
下肢の外傷後や体幹から股関節にかけてスポーツによる使い過ぎなどによって筋力低下や柔軟性低下、拘縮が起こり、それが鼠径部周辺の痛みとなると思われる。
キック動作やランニングやなどの繰り返しの運動によって、鼠径部、股関節周辺、骨盤に機械的なストレスが加わって炎症が生じ、痛みとなります。タックルなどで直接股関節周辺に打撲を受けた場合でも発生します。
症状
圧痛、運動痛、時に鼠径部や大腿内側(内転筋付着部)、下腹部にまで放散する疼痛が特有です。慢性化すると鼠径部が常に痛みます。特に下肢を伸展して挙上、外転する動作で誘発されやすく、股関節の可動域制限、筋力低下が見られます。
サッカーが好発で大半を占め、陸上競技中・長距離、ラグビー、ホッケー、ウェイトリフティングなどで20歳前後の男子選手に多く発生します。
類似疾患
恥骨結合炎とは、左右両サイドの恥骨を結合する軟骨円板の運動ストレスによる炎症であり、スポーツによって発生することが多い障害です。
恥骨結合炎の典型例では薄筋、内転筋の恥骨付着部に骨融解像(とける)や、左右恥骨の高さの違い、結合部の変形などが生じます。CTでも確認できます。ただし、骨まで変化が及ぶ場合は比較的少ないといえます。
恥骨疲労骨折は、鼠径部の疼痛を主として、バスケットボールやテニスに多く発生します。
ハムストリングス損傷による臀部痛、大腿外側痛中心の腸脛靱帯炎、臀筋炎などがあります。
リハビリ
急性期例や発症後半年以内例では、保存療法が第1選択です。疼痛が強い場合は、約2週間のスポーツ休止が必要です。疼痛部位の局所安静(ランニング、キック禁止)、アイシング、時に温熱療法(ホットパック)、消炎鎮痛剤投与、ステロイドホルモンの局所注射(多用は避ける)などが用いられますが、長期的には運動療法が奏功します。
初期のリハビリテーションは股関節の外転可動域訓練、筋力強化、内転筋のストレッチングから開始して水中歩行、エアロバイクによる免荷訓練、その後ジョギング、2ヵ月でボールキック練習を行います。疼痛が消失したからといって、いたずらな早期復帰はかえって再発を繰り返します。慢性化すると長期間(2~3ヵ月以上)スポーツ休止を余儀なくされるので注意を要します。